北朝鮮国民も泣き崩れた「最貧母娘」の悲惨な生活実態

中国とロシアとの国境に接していて、北朝鮮の地方都市の中では最も豊かな部類に入る羅先だが、障がいを抱えたキムさんは市場で商売することも、職場に勤めることもできなかった。唯一の社会とのつながりが、女盟だったのだ。

事件の話が広まると、市民は行政機関を口々に批判した。

「人民委員会(市役所)や洞事務所が生活困窮家庭を積極的に助けていれば、こんな残念なことは防げたのではないか」
「不幸な母子が亡くなったというのに、人民委員会や洞事務所は何もしてくれなかった。町内の住民が現金とお米を集めて祭壇に飾り、ささやかに葬儀を行うしかなかった」(市民)(参考記事:「飢えと放置」に絶望する、北朝鮮軍の負傷兵たち

障がい者を「抹殺」

国営の朝鮮中央通信は、昨年12月3日の国際障害者デーに、「人民的施策によって幸せな生を享受している障害者」という記事を配信した。教育、スポーツ、文化芸術面での支援を受けて幸せに暮らしているという、タテマエばかりの記事だ。